セイドラ雑感

=前置き=

実家に帰ったときに弟2人とセイクリッド・ドラグーンをやってきたので、その雑感。


自分がGMで、弟2人がPL。


セイドラの概要は、以前調べたTRPG調査:セイクリッド・ドラグーン - Master of None参照。


SW系しか知らないので、感想は主にそれとの比較。

=ダイス操作について=

まず、ダイス操作があるだけで普通に楽しかった。
ただのダイスの振り合い(運ゲ・作業ゲーム)になりがちなザコ戦も、「この目はあとで使えそうだから取っておこう」とか「これを入れ替えれば当たるから入れ替えよう」とか色々考えること(意思決定)ができて楽しそうだった。(GMなので自分はやってないのだけど)


で、その「ダイス操作」を中心に据えて色んなことが設定されているのがよくわかって面白かった。
例えば「職業」。(歳をとるとそうでもないけど)「補助系の職業」は不人気になりがちなのが、このゲームでは「高い目なら普通に活躍」「低い目なら補助系の職業のタレント(技)に使える」という感じで常時活躍できるため、「補助系の職業を選ぶ理由(インセンティブ)」になっていた。逆に、「攻撃系の職業」だと「攻撃系の職業のタレント」は「高い目」が必要になるものの、これはこれで高い目を「タレント用に残す」か「普通の攻撃を充てるために使う」かのジレンマなどになっていてちゃんと楽しそうだった。
「装備」も「ダイス操作」を念頭に置いてあるように見えた。SWでは「遠距離攻撃(弓矢など)」はそれ用のスキルが必要だが、このゲームではわりと自由に「遠距離攻撃」を採用できる。つまり、「補助系の職業」でも(威力は低いけど)攻撃の機会がある。「攻撃の機会がある」ということは「ダイスを使う判定がある」ということで、「ダイス操作のチャンスがある」ということになる。なので、「後衛も積極的に戦闘に参加できる」だけでなく、「後衛もダイス操作の機会が多い」ので、補助系の職業であっても戦闘で暇したりはしなかった。
そんな感じで、ただ単に「ダイス操作」を加えただけではなく、ちゃんと「ダイス操作」を活かすように設計されてるのがよくわかり、そういう「ちゃんとした設計方針の実例」としても面白かった。
ここらへんは、もう少し他のTRPGとか知ってればもっとちゃんと比較検証ができるのだろうけど、今の自分だとこんな感じ。


また、ダイス操作の性質上、「ファンブル(1ゾロ)」はほぼ回避できるし「クリティカル(6ゾロ)」は意識的にできるものの、別に面白さを損なってはいない。「世界使い(1の目を主に使う)」の場合、「ファンブル=1ゾロを溜めるチャンス=すでに1で埋まってたらピンチ」となるので、わりと「ハイリスク・ハイリターン」な気分は味わえそう。「クリティカル」も、貴重な「6の目」を消費するので、「できるからやる」という単純なものでもない。


さらに、「どうせこの攻撃は避けられないよ」という状況でも、ダイス操作をするチャンスではあるので、「どうせ避けられないならこっちは取っておこう」とかの「意思決定」の機会が発生する。


他の人のエントリを読んだ時には「ダイス操作の機会がありすぎる?」と思ったけど、回数が多くても特に有利になったりはしない(タレントとかで消費する)ので、特に問題はなさげ。

GMについて=

GMはダイス操作がないのでちょっと寂しい。


それはさておき、「法則障害」など色々と新しく理解する必要があるものがそこそこあるものの、慣れてしまえばかなりやりやすそうではある。まだ1回しかやってないし、そもそものTRPG経験が不足してるので、ただ単にSWと比較してだけど。
まず、「敵の設定」が楽。上記の通り、ただのザコ戦でも普通に楽しいので、とりあえず適切な難易度っぽい敵を出せばそれだけでもOK。「戦術」とか「変な能力」とかを考えるのはそれはそれで楽しいけど、毎回やるのはしんどい。
さらに、「ダンジョンの設定」も楽。基本的には「ただのトラップ部屋」っぽいものを連結させるだけ。やる前は「ただのトラップっぽい部屋を連結させるだけで楽しいだろうか?」と思っていたものの、「ダイス操作」が絡むことで「察知のためのダイス操作」や「消去のためのダイス操作」で相応の思考機会があり、さらに基本的には「どれくらいの値ならば良いか」が「だいたい」でしかPL側にはわからないので、結構色々と考えることができて楽しい(楽しそう)。なので、特に凝らなくてもちゃんとしたダンジョンになっている。
あと、「PLのダイス操作」でPL側は時間を消費するので、GM側の時間が取りやすい。これに関してはあまり実感はないものの、SWをやってた時に比べて色々と負荷が少なく感じたので、たぶんそういう時間の問題も大きいのではなかろうかと思う。

=パーティ構成について=

今回はPLが2人だったこともあり、「ベタな前衛(攻撃&防御)」と「ベタな後衛(回復&補助)」で、おそらく2人だとこれ以外の構成は難しいんじゃなかろうかという感じ。
いわゆる「攻撃魔法」的なものでも、近づかれる前にザコを殲滅するのはおそらく難しい(やってないのでデータだけの推測)ので、どうしても前衛は必要。
で、ザコが相手でも一撃で屠ったりはできないので、どうしてもダメージは食らうため、回復役は欲しい。
しかし、よくよく考えれば、「パラディン的な前衛(防御&回復)」と「攻撃系の後衛(遠距離攻撃)」だったら上手くいくかもしれない。前衛で余りがちな低い目は、回復用のタレント(ダイス目:2)に使えるし、悪くなさそう。

=自動化について=

後で書く予定だけど、SW2.0の方の自動化(GMなしのダンジョン:風来のシレン的なもの)を試して、案外それがうまくいったので、こっちも自動化を検討中。自分もダイス操作したい。


で、上のGMの項で書いたけど、「敵」と「ダンジョン」の設定が単純でも面白いので、自動化はかなりやりやすそう。ただ、そのままやるとわりとSW2.0の自動化とかぶりそうなので、セイドラらしさ(ダイス操作、魔境の設定etc.)を活かしてもう少し別の方向を模索中。

=その他=

あとは適当に感想を列挙。


惜しい!「世界使い(ワールドマスター)」じゃなくて「世界使い(ヴォイドマスター)」だった!


システム的には楽しいのだけど、システム的な楽しさなので、リプレイでこれを表現するのは難しそう。


わりと回復魔法はバシバシ撃てる。「ダイス目:2」を使うだけなので、わりと補充しやすい。しかし、それもダイス操作ありきなので、リソース管理がなくなるわけではなく、ちゃんと楽しくなっている。


「法則障害」の理解にちょっと時間がかかったものの、要は「空間型のモンスター」なのだと思えば、わりとすんなりと理解できた。「モンスターの知名度判定(どれくらい知っているか)」が「察知(気付くか+内容を知っているか)」に対応して、「倒してアイテムゲット」が「消去してアイテムゲット」に相当する感じ。「消去の失敗も普通にある」とか「突破でも存在しなくなる」とかを考えると、メタルスライム的な感じもする。


タレント(技)がほぼ戦闘系なので、タウン系のシナリオは難しそうな気もしつつ、ダイス操作があるからそうでもないのか?とか考えるけど、今しばらくはタウン系をやらなそうなので自分にはあまり関係なさそう。


「命中判定」の段階で「ダメージ」まで算出できるのはわりと楽かもしれない。ダイス操作の機会は減ってるけど。


「察知」「看破」とか、似た名前で同じ能力値がベースなんだけど補正の有無があったりするのはちょっとわかりにくかった。ただ、慣れれば解消する類の問題ではあるので、まぁ良し。


前回の調査で「概念ダンジョン(魔境)というやつが楽しそうなら迷宮キングダムも調べてみよう」と思ったけど、これはただの「ダンジョンの簡略化」っぽくて、それをセイドラでは「ダイス操作」の面白さで補ってる感じなので、それ自体が楽しいというものではなさそう。調べるのはひとまず保留。


あと、前回の調査を読み返していて気付いたけど、まだ「D&D」を全然調べてなかった。「なんか6面ダイス以外を使うらしい」というだけでわりと二の足を踏む。


ちなみに、今回はようやく「シナリオっぽいもの」を試した。ダンジョンオンリーだったのを、前置きから依頼から依頼終了後までに伸ばした。まだ慣れが必要。それを隠すため、ルー語を喋る依頼人で有耶無耶に。「ミーの名前はルーク=O=シヴァ!ドラゴン退治をトゥギャザーしようぜ!」