=「詩学」とは何の本か=
題名が「詩学」となっていて、実際に中身は「詩」についての学問なんだけど、書いてあることは「キャラがブレたらダメだよね」とか「作者の都合でキャラに設定を喋らせるとか最悪だよね」みたいな「現代の小説・映画・漫画etc.」でも通用する「物語」についての話。
さらに、「ピタゴラ装置は何故面白いのか」に対する一つの回答として「"当然の帰結(物理現象)"でありながら"予測不能な結末"に至るから」が使えたり、「エンターテインメント全般」にまで拡張できそうな話。
=読み方=
この手の本にしてはだいぶ読みやすい部類に入るものの、やはり読んでる時に若干のひっかかりがある。ただ、それは単に「単語から思い浮かぶものと用法が食い違う」というのが主な原因だったので、以下のように単語を脳内変換すればわりとすんなり読める。「悲劇だから悲しい物語のことだ」と思う必要は特になかった。
- 叙事詩→小説
- 悲劇→演劇
- 詩人→クリエイター
=抜粋=
内容を一部抜粋(&自分なりに解釈)してみると、以下のようなことが述べられている。
- 「ちゃんとキャラが立ってないとダメだよ」
- 「キャラはちゃんと"思想と性格"を持ってないとダメだよ」
- 「キャラがブレちゃダメだよ」
- 「キャラがブレるなら"ブレるキャラ"からブレちゃダメだよ」
- 「作者の都合でキャラに設定を喋らせちゃダメだよ」
- 「一番良いのは全て"必然"・"当然"のもとに喋らせることだよ」
他にも「ミスリーディング」や「小説と演劇の違い」など色んなことが薄い本の中に濃縮されている。
=まとめ=
上に抜粋したように「何がダメか」だけじゃなく「どうあるべきか」も書いてあり、「ただの非難」ではなくちゃんとした「解説した上での指南書」になっている。
結論としては、「紀元前にこの内容をまとめたアリストテレスすげー」ということで。たとえそれが時代を経て改善を加えられたものであったとしても。
もうしばらくは読み返す予定。